第192回定期演奏会の演奏内容とその意図

 

 2016年1月に第1回の公演を行い大好評を得た《魔笛》の再々演です。キャストはごく一部が交代したのみで第1回とほとんど変わっていません。モーツァルトの真の意味での「白鳥の歌」である《魔笛》の、関西で考えられる最高のキャスティングでお贈りする公演です。

 準オペラ形式とは舞台装置・衣裳なしですが、歌手が暗譜で歌いしぐさをするというもので、オペラそのもののように理解しやすい形式であります。批評家も絶賛する完璧に近い上演で、第1回、第2回とも圧倒的な好評を得ました。好評に応えお贈りする第3回の公演で、モーツアルト室内管弦楽団の2020年創立50周年にまことにふさわしい演目、ぜひお楽しみください。

 

 

第192回定期演奏会

 1月13日(祝)午後3時 いずみホール

〈創立50周年記念シリーズ〉第3回

〈モーツァルト・オペラシリーズ〉アンコール公演(準オペラ形式・原語上演―セリフは日本語)

 モーツァルト     歌劇《魔笛》K.620 全曲 ―再々演―

 

ザラストロ:松下 雅人(バス)

夜の女王:四方 典子(ソプラノ)

タミーノ:諏訪部匡司(テノール)

パミーナ:鬼一  薫(ソプラノ)

パパゲーノ:西尾 岳史(バリトン) 

パパゲーナ:西田真由子(ソプラノ)

弁者、僧:萩原 寛明(バスバリトン)

モノスタトス:橋本 恵史(テノール)

第一の侍女:白石 優子(ソプラノ)

第二の侍女:櫻井 孝子(ソプラノ)

第三の侍女:山田 愛子(メゾソプラノ)

第一の童子:大嶋真規子(ソプラノ)

第二の童子:山田 千尋(ソプラノ)

第三の童子:麻生 真弓(メゾソプラノ)

第一の武士:西垣 俊朗(テノール)

第二の武士:西垣 俊紘(バス)

合唱:モーツァルト記念合唱団(合唱指揮:益子  務)

 

コンサートマスター: 釋  伸司

指揮:門  良一

演出:西垣 俊朗

制作:西垣 俊朗、益子  務、門  良一

 

第191回定期演奏会の演奏内容とその意図

 

第191回定期演奏会/定期サロンコンサート第97回例会

 11月30日(土)午後2時 天満教会

〈創立50周年記念シリーズ〉第2回

 モーツァルト     《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》K.525

 ドビュッシー ピアノ3重奏曲 ト長調*

 モーツァルト 《アダージョとフーガ》 ハ短調 K.546 

 フォーレ ピアノ5重奏曲 第1番 ニ短調 作品89**

ピアノ:笹村 直子`、犬伏 純子** 

ヴァイオリン:永ノ尾文江、遠藤留美子

    ヴィオラ:佐分利祐子

チェロ:日野 俊介

コントラバス:南出 信一

お話:門  良一

 

 今回は二人のピアニストに演奏を依頼したが、お二人とも期せずしてフランスの作曲家の作品をおえらびになった。結果として〈フランス音楽特集〉の室内楽版となったのである。ドビュッシーのピアノ3重奏曲は若い時(19歳)の作で、後のドビュッシーらしさはあまり感じられないが、いかにも清新な才能あふれた作品である。作曲家として世に出る以前の作なので古典的な形式感にしっかりと裏付けられており、安心して聴ける感じがする。フォーレは《レクイエム》が有名であるが、彼の作品は《レクイエム》のようにわかりやすく通俗的ともいえるメロディを持ったものと、いささか難解で聴きなれしにくいものに分かれるように思われる。今回のピアノ五重奏曲はどちらかといえば後者の範疇に属するかと思えるが、ピアノと弦楽四重奏のアンサンブルを生かしきった名曲と言えよう。プログラムの他の曲はいずれもモーツァルトの有名曲であり、演奏メンバーの手の内に入ったすばらしい演奏が期待できる。

 

第190回定期演奏会の演奏内容とその意図

 

 モーツアルト室内管弦楽団は〈フランス音楽特集〉というシリーズの演奏会を時々やっています。その理由はフランスの作曲家がモーツァルトの精神をかなり忠実に受け継いでいるという考えによっています。サン=サーンスのピアノ協奏曲はモーツァルトのピアノ協奏曲のスタイルに基づいているといえますし、フォーレはそのようなサン=サーンスとの深い交友関係が知られています。イベールのフルート協奏曲はモーツァルトの2曲のフルート協奏曲に匹敵する名曲ですし、ビゼーの交響曲は若い時の作品でハイドン、モーツァルトのスタイルに忠実な古典的な形式を持っています。このような観点に基づいたユニークなフランス音楽のプログラムをお楽しみいただくために、モーツァルト室内管弦楽団は看板であるモーツァルトに向かう時と同じ熱意をもって演奏に向かいます。独奏者のピアニスト山田富士子さんは過去何度かモーツァルト室内管弦楽団と協演されているベテラン・ピアニストですが、サン=サーンスがお得意で今後サン=サーンスのピアノ協奏曲のシリーズが続くことが期待されます。またもう一人のソリスト、フルートの山本ありささんは持田 洋先生門下の優秀なフルート奏者で、イベールの協奏曲という難曲に対する意欲が大いに期待されます。

 

第189回定期演奏会の演奏内容とその意図

  

 昨年9月に開催された西宮芸文センター小ホールにおける室内楽編成によるコンサートは大変な好評を得ましたが、今回同じスタイルのコンサートが同じ会場で行われます。

 昨年はショパンの二つのピアノ協奏曲を室内楽(ピアノ6重奏)版で演奏するというユニークなプログラムでしたが、今回は前回と同じショパンのピアノ協奏曲第1番の6重奏版があるものの、サン=サーンスの《動物の謝肉祭》という室内楽編成によりふさわしい曲が含まれています。

 《動物の謝肉祭》はいろいろな動物が登場する愉快な音楽で(動物の中には下手くそなピアニストも含まれています)、サン=サーンスがあるチェロ奏者の依頼を受けて作曲したもので、有名な《白鳥》はそのチェロ奏者の本領が発揮されるように作られています。私的な演奏会のための作品ということで、サン=サーンスの生前には《白鳥》以外は演奏が禁じられていたのです。この組曲はオーケストラで演奏されることが多いのですが、今回はサン=サーンスの指定通りの、弦楽四重奏、コントラバス、フルート、クラリネット、打楽器の各楽器一人ずつと2台のピアノのオリジナル版で演奏されます。ピアニストは堀 茜さんと辰 玲奈さんで、このお二人は長年ピアノ・デュオを組んで活躍して来られたので息の合った演奏が期待できるでしょう。

 プログラムの最後は前回にも取り上げられたショパンのピアノ協奏曲 第1番で前回と同じピアノと弦楽5重奏で演奏されます。前回はこの有名な協奏曲が室内楽の雰囲気で楽しめると大好評だったものです。ピアノ独奏はベテランの田中紀子さん、すばらしい演奏が期待されます。室内楽演奏にとって理想的な芸文センター小ホールでのすばらしいひと時を十分に楽しんでいただける演奏会です。 

 

第188回定期演奏会

 

 天満教会における〈教会音楽シリーズ〉も第6回目となりすっかり定着しました。最初の曲目、ヘンデルの合奏協奏曲は全12曲からなる作品6の最初の曲ですが、ヘンデル自身がもともと弦楽合奏のこれら12曲のうち何曲かにオーボエ2本とファゴット1本を加えて響きを明るくし、よりヘンデルらしくした版があり、今回はその版が用いられます。ヘンデルのオルガン協奏曲は全16曲のうち半分の8曲がすでに〈全曲演奏シリーズ〉で演奏されており残りは8曲となりました。第6番は通常ハープ協奏曲として知られており、今回はそのオルガン版が演奏されます。第14番とともにソロを受け持たれるのは際本雅子さんです。

バッハのブランデンブルク協奏曲第4番は第5番とともに有名な曲ですが、ソロ楽器はヴァイオリンとブロックフレーテ2本です。この曲はヴァイオリン協奏曲としてなかなかの難曲なのですが、そのソロをモーツァルト室内管弦楽団のコンサートマスター、釋 伸司さんが受け持たれます。ブロックフレーテはヘンデルのオルガン協奏曲第6番にもあるのですが、木戸麻衣子さんと財前奈緒子さんが演奏されます。すばらしいプログラムの教会音楽、大いに楽しんでいただきたいと思います。

 

5月18日(土))午後2時 天満教会

〈教会音楽シリーズ〉第6回/〈ヘンデル・オルガン協奏曲全曲演奏〉その5

 ヘンデル 合奏協奏曲 ト長調 作品6-1

 ヘンデル オルガン協奏曲 第14番 ハ長調  作品番号なし

 ヘンデル オルガン協奏曲 第6番 変ロ長調 作品4-6

 バッハ ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調 BWV1049

 

第187回定期演奏会

  

 いずみホールが昨年4~9月の間休館していたので、昨年12月、今年1月、3月といずみホールでの演奏会が続く。交響曲 第38番 《プラハ》は3楽章構成で交響曲としては異端とみなされるが、モーツァルト研究家アインシュタインは第39,40,41番のいわゆる「3大交響曲」にならぶ傑作としてそれらを一緒にして「4大交響曲」と呼んでいる。《プラハ》と第41番《ジュピター》とは第1楽章の出だしが似ているのがおもしろい。ピアノ協奏曲 第21番は第20番、第23番に次いでよく演奏される曲であり、ピアノ協奏曲においてモーツァルト独特の様式が極められた名曲である。第2楽章が特によく知られており、映画にも使われた。交響曲 第41番 《ジュピター》はモーツァルト最後の交響曲としてその風格、様式ともに申し分のない名曲であろう。

これら3曲によるプログラムはモーツアルト室内管弦楽団の演奏会以外ではまず聴けないものであり、現代において非常に貴重なものであろう。非常に期待が持てる演奏会である。

 

 3月23日(土))午後2時 いずみホール

〈モーツァルト名曲集〉

 モーツァルト 交響曲 第38番 ニ長調 K.504 《プラハ》

 モーツァルト ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調  K.467

 モーツァルト 交響曲 第41番 ハ長調 K.551 《ジュピター》

 

第186回定期演奏会

 

 モーツアルト室内管弦楽団は5,6年に1回ほど〈懐かしのクラシック〉というタイトルで、昔よく演奏されたが現在は顧みられることの少なくなった名曲を集めたコンサートを行ってきています。前回の〈懐かしのクラシック〉Ⅲは2013年1月だったので丸6年ぶりの開催です。毎回盛りだくさんの内容であり、このシリーズは指揮者の門 良一の思い入れが格別です。今回は全15曲、以下のようになっています。

 この中でエルガーの作品は懐かしの名曲というよりは比較的新顔の部類でしょう。

 

 今回はゲストとして父子二代続いての世界的ツィター奏者、河野直人氏を迎えています。ツィターというのはオーストリアの民族楽器で日本の琴と起源を同じくする楽器ですが、昔懐かしい映画「第三の男」のテーマソングがこの楽器で奏でられ、アントン・カラスという奏者が大変有名になったのはご存じの方も多いことでしょう。ヨハン・シュトラウスのワルツ《ウィーンの森の物語》でこの楽器のソロがあり、河野氏はそのソロとともに「第三の男」も弾くと聞いています。正月早々大変豪華な内容の楽しみなコンサートになっています。

 

1月12日(土))午後2時 いずみホール

〈懐かしのクラシック〉IV

スッペ       《軽騎兵》序曲

ブラームス      ハンガリー舞曲 第1、4、5、6番

ドヴォルザーク    スラヴ舞曲 第10番

           《新世界交響曲》より第2楽章

シベリウス       《フィンランディア》

ヨハン・シュトラウス 円舞曲《ウィーンの森の物語》

レハール         円舞曲《金と銀》

ケテルビー          ペルシャの市場にて

チャイコフスキー       アンダンテ・カンタービレ

               《くるみ割り人形》より《花のワルツ》

エルガー                      愛の挨拶

           行進曲《威風堂々》第1番

 

 

第185回定期演奏会

 

 改装中で休業していたいずみホールでの久しぶりのコンサートです。オール・モーツァルト・プロでお贈りします。まずはおなじみの《フィガロの結婚》序曲です。聴きなれたこの曲が新しいいずみホールでどのように響くのか楽しみですね。

 次にピアニストの中村勝樹さん(モーツァルト室内管弦楽団ホームページ(http://moz-kam.org)にご本人のメッセージが載っています)の独奏で、モーツァルトのピアノ協奏曲第19番です。中村さんはモーツァルト室内管弦楽団には2回目の登場で、前は2012年の第148回定期、これは〈フランス音楽特集〉でベルリオーズの《幻想交響曲》がメインだったコンサートですが、プーランクの2台のピアノのための協奏曲の第1ピアノで出演されました。モーツァルトの19番の協奏曲はあまり演奏されない曲ですが、それだけに独奏者の意気込みが感じられるというものです。大いに期待しましょう。

 年末恒例となった感のあるモーツァルト記念合唱団との協演ですが、今回はそもそもこの合唱団が誕生するきっかけとなったモーツァルトの遺作であるレクイエムを演奏します。1991年のモーツァルト没後200年の年にレクイエムを演奏すべく結成されたのがモーツァルト記念合唱団なのです。この曲での共演は6度目となり、ソリストの田中希美、高原いつか、松原 友、松下雅人の各氏は今までモーツァルト室内管弦楽団と共演された人ばかりですし、完全に手の内に入った演奏を展開できるでしょう。どうかお楽しみになさってください。

 

12月9日(日)午後2時 いずみホール

 

 モーツァルト 歌劇《フィガロの結婚》K.492 序曲

 モーツァルト ピアノ協奏曲 第19番 ヘ長調 K.459*

 モーツァルト レクイエム ニ短調 K.626

 

ピアノ:中村 勝樹*

ソプラノ:田中 希美

アルト:高原いつか

テノール:松原  友

バス:松下 雅人

合唱:モーツァルト記念合唱団(合唱指揮:益子  務)

指揮:門  良一

 

 

第184回定期演奏会/定期サロンコンサート〈クライネ・モーツァルト〉第94回例会

 9月29日(土)午後2時 兵庫県芸術文化センター小ホール

                                (西宮北口)

 

 モーツァルト ディヴェルティメント ニ長調 K.136

 ショパン   ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 (ピアノ6重奏版)*

 モーツァルト アイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調 K.525

 ショパン   ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 (ピアノ6重奏版)**

   ピアノ:大槻 知世*、湊谷亜由美**

   ヴァイオリン:林 泉、永ノ尾文江

   ヴィオラ:佐份利祐子

   チェロ:日野 俊介

   コントラバス:南出信一

   お話:門  良一

 

 いつもは南森町の天満教会で開催されるサロンコンサートですが、今回は初めて西宮北口の兵庫県芸術文化センター小ホールでの開催です。このホールはリサイタルホールなので、オーケストラではなく室内楽をお届けします。モーツァルトの超有名曲、ディヴェルティメント ニ長調 K.136とアイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調 K.525の2曲に、ショパンのピアノ協奏曲第1番と第2番のいずれもピアノ6重奏(ピアノ+弦楽5重奏)版という大変魅力的なプログラムです。ショパンは自作のピアノ協奏曲を発表するとき、オーケストラではなく弦楽器の室内楽を用い、オーケストラで管楽器だけのところも弦楽器のパートに書き込んで演奏したと伝えられるので、このピアノ6重奏版はそれなりに正当性があると認められるようです。ソリストはそれぞれ大槻知世さん、湊谷亜由美さんという新進気鋭のお二人、弦楽5重奏のメンバーはモーツァルト室内管弦楽団のトップメンバー、ヴァイオリンの林 泉さん、永ノ尾文江さん、ヴィオラの佐份利祐子さん、チェロの日野俊介さん、コントラバスの南出信一さんで、息の合ったアンサンブルが楽しめそうです。

 

 


第183回定期演奏会/定期サロンコンサート〈クライネ・モーツァルト〉第93回例会

 7月14日(土)午後2時 天満教会

 

〈教会音楽シリーズ〉第5回

 ―ヘンデル・オルガン協奏曲全曲演奏―その4

 ヘンデル 合奏協奏曲 ト長調 作品3-3*

 ヘンデル オルガン協奏曲 第15番 ニ短調 作品番号なし**

 ヘンデル オルガン協奏曲 第7番 変ロ長調 作品7-1**

 バッハ カンタータ 第78番《わが魂なるイエスよ》***,****

 

フルート:大江 浩志*

ヴァイオリン:釋  伸司*

オルガン:木島美紗子**

テノール:松原  友***

バス:萩原 寛明***

合唱:モーツァルト記念合唱団(合唱指揮:益子  務)****

コンサートマスター:釋  伸司

指揮とお話:門  良一

 

 天満教会での開催が大好評を得ております〈教会音楽シリーズ〉、ヘンデルとバッハの名曲の連続演奏が中心となっておりますが、今回第5回目を迎えます。好企画の〈ヘンデル・オルガン協奏曲全曲演奏〉も4回目となります。まず最初に演奏されるのはヘンデルの合奏協奏曲作品3-3ですが、ヘンデルの合奏協奏曲は名曲が多く、この曲は独奏楽器がフルートとヴァイオリンになっています。ヘンデルの作品ではオーボエが主たる独奏楽器である場合が多く、フルートが活躍する場合は比較的珍しいと言えます。大江浩志さんと釋伸司さんの名演奏が期待されます。

 ヘンデルのオルガン協奏曲は小型のいわゆるポジティヴ・オルガンのために作曲されたもので、現在生演奏ではほとんど聴くことのできない名曲集でありますが、今回は第15番と第7番が取り上げられます。第15番は短いながらも独奏者にまかされた自由な演奏(アド・リブ)の個所が多いユニークな協奏曲です。第7番は最も有名な曲の一つで大曲であり、ヘンデルらしい壮大な音楽が展開されます。去年の9月にも独奏を担当された木島美紗子さんの名演奏を楽しみましょう。

 最後はバッハのカンタータの中でも特に有名な第78番です。この曲の第2楽章は女声の二重唱としてよく知られておりますが、今回は合唱で歌われます。第4楽章のテノール・アリアと第6楽章のバス・アリアも有名です。初登場のテノール松原友さん、すでに何度も出演しておられるバリトン萩原寛明さんの名唱が期待されます。第7楽章は合唱で歌われるコラールです。

 

 

第182回定期演奏会/定期サロンコンサート〈クライネ・モーツァルト〉第92回例会

5月26日(土)午後2時 天満教会

 

〈室内楽の精髄〉

 モーツァルト 弦楽四重奏曲 ニ短調 K.421

 シューマン ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44 

 ブラームス クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115 

   

   ヴァイオリン:釋  伸司、中川 敦史、

   ヴィオラ:佐份利祐子、チェロ:日野 俊介

   ピアノ:小林かずみ、

   クラリネット:髙橋  博

   お話:門  良一

 

 大好評を得ている天満教会でのサロンコンサート、今回は〈室内楽の精髄〉と銘打って古典派からロマン派にかけての室内楽の傑作3曲をお届けいたします。まずモ-ツァルトの弦楽四重奏曲 ニ短調 K.421はモ-ツァルトの弦楽四重奏曲中最も有名なもので、ハイドンの弦楽四重奏曲をモデルとした《ハイドン・セット》と呼ばれる6曲の作品の2番目にあたります。この曲の短調による切々とした哀愁感は独特のものでファンが多いようです。モーツァルト室内管弦楽団の首席奏者たち、ヴァイオリンの釋  伸司、中川 敦史、ヴィオラの佐份利祐子、チェロの日野 俊介の皆さんがこの名曲をどのように演奏するのか非常に興味深いところです。

 続いてはゲストのピアニスト、小林かずみさんの登場でシューマンのピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44が演奏されます。これはシューマンのピアノ協奏曲 イ短調に匹敵する傑作であるだけでなく、広くロマン派全体におけるピアノ入り室内楽の中でも大傑作とされるものです。小林さんは神戸女学院で池田洋子さんに師事されたベテラン・ピアニストで、上記4人のメンバーとの息の合ったアンサンブルが期待されます。ピアノが入ることによって協奏曲的な様相が加わり、弦楽四重奏とはまた一味ちがった室内楽が楽しめましょう。

 最後はファン待望のブラームスのクラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115です。この曲はモーツァルトのクラリネット五重奏曲 イ長調 K.581と並ぶこの分野の最高傑作ですが、モーツァルトの場合と同じくクラリネットという楽器の名手が作曲者の身近にいたことから生まれたことはよく知られています。古くはレオポルト・ウラッハというウィーンの名手による名演奏のレコードをご記憶の方も多いことでしょう。生演奏で聴かれる機会の少ないこの名曲の、関西屈指の名手高橋 博さんと上記4人による白熱の名演奏が大いに期待されます。

 

第181回定期演奏会

定期サロンコンサート〈クライネ・モーツァルト〉第91回例会

3月24日(土)午後2時 天満教会

 

 〈教会音楽シリーズ〉第4回

 ―ヘンデル・オルガン協奏曲全曲演奏―その3

 

ヘンデル オルガン協奏曲 第5番 ヘ長調 作品4-5

バッハ 管弦楽組曲 第2番 ロ短調 BWV1067**

ヘンデル オルガン協奏曲 第8番 イ長調 作品7-2

バッハ 《ヨハネ受難曲》BWV245よりソプラノ・アリア

    《私は喜ばしい足取りであなたに従う》**,***

バッハ 《マタイ受難曲》BWV244よりソプラノ・アリア

   《愛ゆえにわが救い主は死にたもう》**,***

バッハ カンタータ 第209番 《悲しみを知らぬ者》 BWV209**,***

 

オルガン:前田 直子

フルート:大江 浩志**

ソプラノ:木村能里子***

コンサートマスター:釋  伸司

指揮とお話:門  良一

 

 音響、雰囲気ともに最高との呼び声が高い天満教会、その会場での〈教会音楽シリーズ〉は大好評のうちに続いております。ドイツ・バロックの2大巨匠、バッハとヘンデルの名曲が中心で、ヘンデルのオルガン協奏曲全曲演奏と、バッハのカンタータが呼び物となっておりますが、今回はオルガン・ソリストに神戸女学院オルガニストの前田直子さん、ドイツ在住のソプラノの木村能里子さんを迎えてのコンサートです。ヘンデルのオルガン協奏曲は広く知られているというわけではなく、オルガニストの人もあまり弾いたことがないというジャンルなのですが、ヘンデルの器楽曲の中では非常によくできた傑作集と言えましょう。全曲演奏というのはおそらく日本初の試みと思われます。シンプルでわかりやすいヘンデル独特の音楽に親しんでいただきたいものです。ソリストの前田直子さんの演奏が大いに期待されます。

 今回のプログラムで注目されるのはフルートが重要な役割をする作品が多いということです。バッハの名曲、組曲第2番が演奏されるだけでなく、カンタータ第209番も受難曲からのアリア2曲もフルートのソロがたっぷり聴かれるという組み合わせになっています。モーツァルト室内管弦楽団首席奏者の名手大江浩志さんのフルートを大いに楽しんでいただけます。ソプラノの木村能里子さんはモーツァルト室内管弦楽団の演奏会には何度も登場されていてファンも多いのですが、彼女自身本拠としているドイツでは教会で宗教曲を歌われる機会が多く、日本での天満教会でのこのシリーズも楽しみにしているということで、今回のプログラムは彼女の希望を多く取り上げたものとなりました。すばらしい歌唱が大いに楽しみであります。

 

第180回定期演奏会

2016年1月の《魔笛》は空前の好評となったことは皆様よくご存じの通りです。衣装や舞台装置はなくとも、全歌手が暗譜で身振り手振りを行う〈準オペラ形式〉とでも言える形がとられ、聴衆に強く訴えるものとなりました。その好評を受けて2年後の2018年1月14日に全くの同一キャストで再演が行われます。出演者全員がこの再演を喜び、熱気に燃えています。関西の実力派歌手が勢ぞろいし、50年近い歴史を誇るモーツァルトを専門に演奏してきたオーケストラがバックアップするという、日本の《魔笛》演奏史上においても特筆すべきあの公演が2年をおいて再現するのです。皆さん、大いに期待してください!

 

 1月14(日)午後3時 いずみホール

〈モーツァルト・オペラシリーズ〉アンコール

 モーツァルト 歌劇《魔笛》 K.620  の再演!

ザラストロ:松下 雅人(バス)

夜の女王:四方 典子(ソプラノ)

タミーノ:諏訪部匡司(テノール)

パミーナ:鬼一  薫(ソプラノ)

パパゲーノ:西尾 岳史(バリトン) 

パパゲーナ:西田真由子(ソプラノ)

弁者、僧:萩原 寛明(バスバリトン)

  モノスタトス:橋本 恵史(テノール)

第一の侍女:津山 和代(ソプラノ)

第二の侍女:櫻井 孝子(ソプラノ)

第三の侍女:山田 愛子(メゾソプラノ)

第一の童子:朴  華蓮(ソプラノ)

第二の童子:山田 千尋(ソプラノ)

第三の童子:麻生 真弓(メゾソプラノ)

第一の武士:西垣 俊朗(テノール)

第二の武士:西垣 俊紘(バス)

合唱:モーツァルト記念合唱団(合唱指揮:益子  務)

コンサートミストレス: 鷲山かおり

指揮:門  良一

演出:西垣 俊朗

制作:西垣 俊朗、益子  務、門  良一

 

第179回定期演奏会

12月3日(日)午後2時 いずみホール

〈ベートーヴェン・シリーズ〉第7回(最終回)

ベートーヴェン 序曲《レオノーレ》第3番 Op.72b

ベートーヴェン 交響曲 第9番 ニ短調 Op.125 《合唱付き》  

 

ソプラノ:西垣千賀子

アルト:福嶋あかね

テノール:西垣 俊朗

バス:田中  勉

合唱:モーツァルト記念合唱団(合唱指揮:益子  務)

コンサートマスター:釋  伸司

指揮:門  良一

 

 モーツアルト室内管弦楽団は2011年より〈ベートーヴェン・シリーズ〉を始めました。ベートーヴェンの9つの交響曲を中心に、主要な協奏曲や序曲を取り上げ、ウィーン古典派の中でハイドン、モーツァルトの後継者としてのベートーヴェンをとらえなおすというのがその目的です。二人の先輩の作り上げたスタイルからベートーヴェンは大きくはみ出してはいますが、基本的には古典派としての形式感を維持している、というのがシリーズを行ってきた中での認識です。さて今回はシリーズ最終回です。ベートーヴェンの最高傑作と言われ、あまねく愛好されて今や人類の宝ともなった「第九交響曲」を演奏します。実はモーツアルト室内管弦楽団にとってこの交響曲の演奏は今回が創立以来初めてなのです。年末には恒例のように各団体が多く演奏する中、一度も「第九」はやったことがありません。古典派の最終ランナーのベートーヴェンが最後にたどり着いた大曲を由緒正しく演奏することは、古典派を主たるレパートリーとしてきたわれわれモーツアルト室内管弦楽団の使命であり、また多くの人にその結果を聴いていただきたいのであります。

ソリストには毎年のように「第九」を歌い続けておられるベテラン歌手の方々、西垣千賀子さん、福嶋あかねさん、西垣俊朗さん、田中 勉さんをお迎えしおり、また合唱は益子 務さんの率いる僚友モーツァルト記念合唱団であります。必ずや大きな感動をもたらす演奏ができる確信があります。

「第九」の前に演奏する「レオノーレ序曲第3番」はシリーズの中で一度取り上げてはおりますが、ベートーヴェンの序曲中最高の傑作であり、「第九」の前に演奏するのに最もふさわしい曲として選びました。どうか〈ベートーヴェン・シリーズ〉最終回をお楽しみいただくことを心から願っております。

 

第178回定期演奏会/定期サロンコンサート〈クライネ・モーツァルト〉第88回例会

9月30日(土)午後2時 天満教会

 

〈教会音楽シリーズ〉第3回

 ―ヘンデル・オルガン協奏曲全曲演奏―その2

 

ヘンデル オルガン協奏曲 

                        第2番 変ロ長調 作品4-2 

バッハ カンタータ 第159番

                       《見よ、われらエルサレムに上り行かん》よりアリア

バッハ カンタータ 

                       第56番《われ喜びて十字架をになわん》よりアリア

ヘンデル オルガン協奏曲 

                       第3番 ト短調 作品4-3 

バッハ カンタータ 

                      第82番《われは満ち足れり》

 

オルガン:木島美紗子

バリトン:萩原 寛明

コンサートミストレス:林  泉

指揮とお話:門  良一

 

 天満教会というすばらしい会場を得て〈教会音楽シリーズ〉の第3回目を迎えることになりました。今回はソリストとしてオルガンの木島美紗子さんとバリトンの萩原寛明さんにお願いしました。木島さんは2015年の12月、第167回定期演奏会で演奏しましたフォーレのレクイエムでオルガンを担当していただいてご縁ができました。〈教会音楽シリーズ〉で続けております〈ヘンデル・オルガン協奏曲全曲連続演奏〉に対してもご賛同をいただいております。萩原寛明さんは上記のフォーレのレクイエムをはじめミサやオペラでモーツァルト室内管弦楽団と何度も協演しておられるのでおなじみですが、今回はバリトン独唱の名曲として知られるバッハのカンタータ第82番を中心に歌っていただきます。

 おそらく日本で初めての画期的な企画として好評を得ております〈ヘンデル・オルガン協奏曲全曲連続演奏〉、ヘンデルのオルガン協奏曲は足で演奏するペダルを持たない簡易型の、いわゆるポジティブ・オルガンのためのものがほとんどで、演奏の機会はヘンデルの数多いオラトリオの上演の際に作曲者の独奏による幕間用として作られました。ヘンデルは彼自身の他の作品から転用して作曲する場合がしばしばあり、オルガン協奏曲には特にその例が多く見られます。今回は〈全曲連続演奏〉の第2回目として6曲ある作品4のオルガン協奏曲の中から第2番変ロ長調と第3番ト短調を取り上げました。第2番はいかにもヘンデルらしい単純明快な中にも風格のある作品です。第3番はオルガンのほかにヴァイオリンとチェロにも独奏パートが与えられている、合奏協奏曲のスタイルに近いかたちを取っています。比較的に知られていないオルガン協奏曲によってヘンデルの音楽の良さを知っていただくのがこのシリーズの意図であります。

 数多いバッハのカンタータ(200曲以上)の中で、合唱を伴わないソロ・カンタータと呼ばれる一群の作品があります。この中にも名曲がたくさんありますが、今回はバリトン独唱のある3つの有名なカンタータのうち3曲を選び、うち2曲は特に有名なアリアを、1曲は全曲を演奏することにしました。宗教音楽を得意とされる萩原さんの名唱をたっぷりと味わっていただきたいと思います。またこの3曲にはいずれもオーボエのソロが付いており、モーツァルト室内管弦楽団の首席オーボエ奏者、福田 淳さんのソロが楽しめます。どうかご期待ください。

 

 

第177回定期演奏会

7月19日(水)午後2時 いずみホール

 

〈モーツァルトの華麗なる二重協奏曲〉

 

モーツァルト 《バスティアンとバスティエンヌ》によるシンフォニア K.50

モーツァルト フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299 

モーツァルト 2つのヴァイオリンのためのコンチェルトーネ ハ長調 K.190

モーツァルト 交響曲 第29番 イ長調 K.201

 

フルート:大江 浩志

ハープ:石井 理子

ヴァイオリン:ギオルギ・バブアゼ、チプリアン・マリネスク

コンサートマスター:釋  伸司

指揮:門  良一

 

 モーツァルト名曲集、今回は〈モーツァルトの華麗なる二重協奏曲〉と題しまして、モーツァルト中期の二つの楽器のための協奏曲を中心にお贈りいたします。最初にそのシンフォニアが演奏されます《バスティアンとバスティエンヌ》はモーツァルトが11、2歳で作曲した彼の3番目のオペラですが、そのシンフォニア(序曲)は一般にはベートーヴェンの《エロイカ交響曲》の第1楽章のテーマとそっくりなメロディが使われているのでよく知られています。原曲の序曲は大変短く、しかもオペラのアリアに続くように終止しない形で終わっているので、私が続くアリアとオペラの終曲とをオーケストラ用にアレンジして3楽章のシンフォニアの形にしました。これまでにもこの形で何回か演奏しています。

 フルートとハープのための協奏曲は、華麗な二つの楽器のための二重協奏曲としてあまりにも有名です。この曲はパリのアマチュアの父娘のために作曲されたものですが、いかにもフランス好みのあでやかな大傑作です。フルートの大江浩志さんはモーツァルト室内管弦楽団とこの曲を何度も演奏しておられます。ハープの石井典子さんもおなじみですが、この曲でははじめての登場です。この二人のさわやかな中にも熱のこもった協演が大いに期待されます。

 二つのヴァイオリンのためのコンチェルトーネは、モーツァルト18歳の作品ですが、コンチェルトーネとは「大協奏曲」という意味で、複数の楽器のための協奏曲を意味する「協奏交響曲」と類似の概念と思われます。二つのヴァイオリン以外にオーケストラのオーボエやチェロにもソロ的なパッセージが少なからずあるなかなか面白い曲です。モーツァルトが本格的なヴァイオリン協奏曲を書く前にこんなスタイルの作品を書いたことに興味を覚えます。ソリストには2014年の第158回定期演奏会でベートーヴェンの《三重協奏曲》でヴァイオリンのソロを弾かれたギオルギ・バブアゼさんと、その友人のチプリアン・マリネスクさんで、二人ともジョージア(グルジア)出身の名手です。大変興味深い協演です。

 プログラムの最後は中期の傑作、交響曲第29番です。この曲はモーツァルト室内管弦楽団の創立第1回の定期演奏会でも取り上げられた楽団にとっては縁の深い作品で、その後も何回か演奏しています。交響曲としては室内楽的要素の多い独特の音楽でモーツァルトの交響曲の中でも人気の高い名曲です。気持ちを新たに取り組みたいと思っています。

 

第176回定期演奏会  

6月17日 午後2時 いずみホール

 

〈モーツァルトとハイドン〉その11 

ハイドン 交響曲 第83番 ト短調 Hob.I-83 《めんどり》

モーツァルト ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488

モーツァルト ピアノ独奏付きアリア

                   《どうしてあなたを忘れられよう》K.505

モーツァルト 交響曲 第40番 ト短調 K.550

 

ピアノ:松村 英臣

ソプラノ:櫻井 孝子

コンサートマスター:釋  伸司

解説と指揮:門  良一

 

 好評をいただいております〈モーツァルトとハイドン〉シリーズ、今回が11回目となります。モーツァルトとハイドンという同時代に生きた作曲家でありながら互いに深く尊敬し合っていた二人の天才の作品の中から、何らかの意味で関連のある曲を比較演奏するというこのシリーズ、今回はハイドンとモーツァルトの同じト短調の交響曲が中心となるプログラムです。

 交響曲第40番ト短調を含むモーツァルトのいわゆる〈3大交響曲〉の作曲には、その2年前に作られたハイドンの《パリ交響曲》(第82~87番の6曲)が強い影響を与えたと言われております。ハイドンの最初の3曲(第82~84番)の調性がそれぞれハ長調、ト短調、変ホ長調であって、モーツァルトの〈3大交響曲〉の第39番変ホ長調、第40番ト短調、第41番《ジュピター》ハ長調と順序が逆であることを除けば完全に一致しているからです。モーツァルトが交響曲の作曲においてこれほどのことをするからにはハイドンの影響が極めて大きかったのではと想像されます。

 果たしてハイドンはどんな影響をモーツァルトに与えたのか、そもそもモーツァルトはハイドンの真似をしたのか、あるいはそうでないのか、非常に興味深く面白いテーマであります。今回は私が解説して両曲の比較演奏を行うという、他の演奏会ではまず絶対に聴けない企画が実現します。

 今回のプログラムにはモーツァルトの名曲が2曲加わっております。その1曲はよく知られたピアノ協奏曲第23番イ長調です。ピアノ独奏はモーツァルト室内管弦楽団との協演回数が多い名手、松村英臣さんです。どうかご期待下さい。

 残る1曲はソプラノのアリアにおいてピアノが加わるという珍しい形式の作品で、《フィガロの結婚》でスザンナを初演した歌手、ナンシー・ストーレスに与えた「別れの歌」(モーツァルトの彼女に対するラブレター?)と言われている、モーツァルト・ファン必聴の名曲です。モーツァルト室内管弦楽団と何度か協演しているソプラノ歌手、櫻井孝子さんとピアニスト、松村英臣さんの協演にモーツァルト室内管弦楽団がバックを受け持ちます。

 

 

 第175回定期演奏会/定期サロンコンサート〈クライネ・モーツァルト〉第89回例会

 4月8日(土)午後2時 天満教会

〈創立50周年に向けて〉シリーズ 第3回

 

〈モーツァルトの室内楽ディヴェルティメント名曲集〉アンコール 

モーツァルト ディヴェルティメント 変ロ長調 K.137

ーツァルト 音楽の冗談 へ長調 K.522

モーツァルト ディヴェルティメント 「第17番」 ニ長調 K,334

 

ヴァイオリン:釋  伸司、中川 敦史、ヴィオラ:佐份利祐子

チェロ:日野 俊介、コントラバス:南出 信一

ホルン:佐藤 明美、垣本奈緒子

お話:門  良一

 

 ご好評をいただいております天満教会でのサロンコンサート、この回はちょうど2年前に開催したものと全く同じプログラムで行います。その時の演奏は大変な好評を博したもので、初めてこられた聴衆の方で「今日の演奏は本当にすばらしかった。私、すぐ会員になります。」とおっしゃった人もおられたくらいだったのです。われわれもディヴェルティメント「第17番」というモーツァルトの最高の傑作であるばかりでなく、一般にも広く知られている名曲の記念碑的な名演奏ができた、という思いがあり、ここにアンコール公演を行うことにいたしました。同時に〈創立50周年に向けて〉シリーズ の第3回とします。前回お聴き漏らしになった方はもちろん、お聴きになられた方もぜひお楽しみいただきたいコンサートであります。

 

 

 第174回定期演奏会

2017年1月29日(日)午後2時 いずみホール

〈創立50周年に向けて〉シリーズ 第2回

 

〈ニューイヤーコンサート/モーツァルト名曲集〉

モーツァルト 歌劇《ドン・ジョヴァンニ》K.527 序曲

モーツァルト クラリネット協奏曲 イ長調 K.622

モーツァルト 交響曲 第39番 変ホ長調 K.543

 

クラリネット:鈴木 豊人

コンサートマスター:釋  伸司

指揮:門  良一

 

 新しい年の最初の演奏会は、モーツァルトのよく知られた作品を集めての〈ニューイヤー・モーツァルト名曲集〉です。《ドン・ジョヴァンニ》の序曲は《フィガロの結婚》や《魔笛》の序曲ほどには演奏会で取り上げられないようです。主人公の地獄落ちを暗示する暗く重々しい序奏がありますが、それに続く主部は全く対照的な明るい音楽で、このオペラが本質的にはオペラ・ブッファであることを示しています。この名序曲に対しモーツァルト室内管弦楽団らしい正統的な演奏を行いたいと考えています。最晩年の大傑作、クラリネット協奏曲はクラリネットに対する空前絶後の名曲であり、モーツァルトのこの楽器への深い理解度と愛情が感じられます。ソリストに関西クラリネット界の第一人者、鈴木豊人さんを迎えての演奏で、協演は1996年以来20年ぶりでもあり、彼の美しい音色に大いに期待していただきたいと思います。交響曲第39番は「3大交響曲」の一つでありながら演奏頻度はそれほど多くないのですが、他の2曲、第40番、第41番《ジュピター》とはまたちがう名曲であるので、われわれの演奏によって感動を味わっていただけるものと思います。なお、この定期演奏会は、モーツァルト室内管弦楽団の〈創立50周年に向けて〉シリーズとして、2016年1月の《魔笛》公演に続く第2回目となります。

 

 

第172回定期演奏会/定期サロンコンサート

〈クライネ・モーツァルト〉第88回例会9月17日 午後2時 天満教会 

 

〈教会音楽シリーズ〉第2回  

ヘンデル 合奏協奏曲 変ロ長調 Op.3-2

―ヘンデル・オルガン協奏曲全曲演奏―その1

ヘンデル オルガン協奏曲 第1番 ト短調 Op.4-1

ヘンデル オルガン協奏曲 第4番 ヘ長調 Op.4-4

バッハ  カンタータ 第4番

     《キリストは死の絆につかせたまえり》BWV4

 

オルガン:片桐 聖子

合唱:モーツァルト記念合唱団(合唱指揮:益子  務)

コンサートマスター:釋  伸司

指揮とお話:門  良一

 

 去年、第1回を開催して大好評をいただいた天満教会における〈教会音楽シリーズ〉の第2回です。今回は前半では第1回で大変好評をいただいたオルガンの演奏を中心としたヘンデル作品、後半はバッハの教会カンタータの中でも名曲として知られるカンタータ第4番、という充実したプログラムとしました。オルガンのソリストには去年協演した片桐聖子さんが再び出演されます。また、今回はモーツァルト室内管弦楽団の姉妹団体であるモーツァルト記念合唱団が天満協会にはじめて登場し、そのすばらしいハーモニーを披露します。さて、ヘンデルは日本ではバッハの陰に隠れてしまい《メサイア》以外の曲は演奏される機会が少ないようですが、この演奏会でのヘンデル作品をお聴きになればそのような先入観はなくなるのではと私は期待しております。合奏協奏曲作品3-2は管楽器のオーボエとファゴットが弦楽合奏に加わり、ヴァイオリンやチェロのソロもあって華やかな協演を繰り広げる名曲です。ヘンデルのオルガン協奏曲は全部で16曲あるのですが、どれもがすばらしい名曲ぞろいなので、この〈教会音楽シリーズ〉の中で全曲を演奏しようという大変意欲的な企画です。バッハのカンタータは全部で200曲以上あるのですが、このシリーズでは有名な作品を順次取り上げていくつもりです。〈教会音楽シリーズ〉の第2回にどうかご期待下さい。 

 

 

第171回定期演奏会 

7月30日(土)午後2時 いずみホール

 

〈ベートーヴェン・シリーズ〉第6回

ベートーヴェン 交響曲 第2番 ニ長調 作品36

ベートーヴェン ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58

ベートーヴェン 交響曲 第8番 ヘ長調 作品93

 

ピアノ:池田 洋子

コンサートマスター:釋  伸司

指揮:門  良一

 

 モーツァルト室内管弦楽団は2011年から満を持して〈ベートーヴェン・シリーズ〉を開始しました。楽団創立の頃を振り返ってみますと、当時はオーケストラというものはプロ・アマを問わずベートーヴェンの交響曲をプログラムの中心に置いて演奏会を行っていたと言えるでしょう。その状況は今でもあまり変わっていないようです。それほどベートーヴェンは昔も今も人気があるわけです。ベートーヴェンの作品はどれもがすばらしくエネルギッシュで力強く、聴くものを鼓舞してくれるのですが、一方ではこれが日本人のガンバリズムと奇妙に波長が合ってしまって、いわば力ずくの演奏になっている感が否めません。われわれモーツァルト室内管弦楽団はそういう演奏傾向とは逆の方向を目指すべく出発し、18世紀の宮廷音楽であるモーツァルトやハイドンを優雅に繊細に演奏することに努力してきました。しかし演奏活動も40年の歴史を積み重ねてきましたので、ここでベートーヴェンをハイドンやモーツァルトの後継者としてあらためて見直そうと考えてシリーズを始めたわけです。冒頭に書きました「満を持して」という言葉にはそういう意味合いがあります。

 〈ベートーヴェン・シリーズ〉においてわれわれは、弦楽器は第1ヴァイオリン7~8、第2ヴァイオリン6、ヴィオラ4、チェロ4、コントラバス3、管楽器は曲によって多少異なりますが(作曲者が指定)、標準的にはいわゆる2管編成(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット各2本にティンパニ1対)という編成を取っており、この弦楽器と管打楽器とのバランスはベートーヴェンの演奏において理想的なものと考えられます。これはまたモーツァルト室内管弦楽団の標準編成とほぼ同じでもあります。要するにわれわれはベートーヴェンを古典派の作曲家として再認識し、ハイドン、モーツァルトにおいて培ってきた演奏様式を基本としてベートーヴェンに向かい、その様式からはみ出すベートーヴェン独特の音楽的迫力をいかにバランスよく表現するか、ということに挑戦してきております。シリーズの前5回まではこの点において成功していると言っていいのではないでしょうか。

 交響曲第2番は、ベートーヴェンの人生がどん底状態にあった時期の作品です。耳の病気が悪化し遺書を書いたことはよく知られていますが、そんな雰囲気を全く感じさせない明るく力強い音楽で、古典様式とベートーヴェンらしさがほどよくバランスしている名曲です。ピアノ協奏曲第4番は有名な第5番《皇帝》と対照づけられて、女性的な協奏曲とみなされていますが、ベートーヴェンらしさに溢れた大曲です。これを、以前にもこの曲でモツ管と協演している大ベテランの池田洋子さんが独奏されますのでご注目ください。交響曲第8番は不思議なことに第2番とともにベートーヴェンの交響曲の中では小さめのかわいらしい曲ということになっていますが、第7番とほとんど並行して作られた非常に規模の大きな交響曲なのです。ベートーヴェンらしさをしっかりと踏まえた演奏をしたいと思っています。

  

 

第170回定期演奏会

2016年6月18日(土)午後2時 いずみホール

 

〈モーツァルトとハイドン〉その10

モーツァルト 交響曲 第31番 ニ長調 K.297 《パリ》

モーツァルト ピアノ協奏曲 第22番 変ホ長調 K.482

ハイドン 交響曲 第104番 ニ長調 Hob.I-104 《ロンドン》

 

ピアノ:内田 朎子

指揮:門  良一

 

 好評の〈モーツァルトとハイドン〉シリーズ、今回は二人の作品の中で18世紀の2大音楽マーケットであったパリとロンドンの名を冠した交響曲が選ばれた。モーツァルトは7歳から10歳にかけて足掛け4年間、パリとロンドンを含む西方への大旅行を行い、各地で神童と言われ大いにもてはやされる。ロンドンにおいて8歳のモーツァルトによる最初の交響曲が生まれ、今日「第1番」と呼ばれている作品を始めとする数曲がモーツァルトの「ロンドン交響曲」と呼ばれることがある。

 後年、21歳から23歳にかけての「マンハイム・パリ旅行」においては昔日の名声を復活させることはできず、失意のうちに帰郷するのだが、その折パリで作曲されたのが今回演奏する《パリ交響曲》である。

 一方のハイドンはモーツァルトとちがい約30年間ハンガリーの片田舎の貴族に仕えていたのだが、52歳の頃に遠くパリから交響曲の注文を受け、6曲からなる《パリ交響曲》(第82~87番)を作曲した。これらはモーツァルトの〈3大交響曲〉にも影響を及ぼした名曲集である。ハイドンは57歳のときロンドンに招かれ、12曲からなる〈ザロモン・セット〉と呼ばれる交響曲集を書いた。ザロモンとは彼をロンドンに招いたヴァイオリニスト兼興行師である。これら12曲をまとめて《ロンドン交響曲》と呼ぶこともある。12曲の最後の今回演奏する曲(第104番)を、通常《ロンドン交響曲》と呼んでいる。

  

 

第169回定期演奏会/定期サロンコンサート〈クライネ・モーツァルト〉第87回例会

2016年4月23日(土)午後2時 天満教会

 

〈フランス音楽特集〉―木管5重奏名曲集―

イベール 3つの小品

ミヨー ルネ王の暖炉

ルーセル ディヴェルティスマン Op.6

フランセ ビヤホールの音楽(別名:恋人たちの時間)

プーランク 6重奏曲

 

 またも〈フランス音楽特集〉とお思いかもしれません。モーツァルトの精神を最もよく受け継いでいるのがフランスの作曲家たちなのです。モーツァルトが愛した木管楽器たちの妙なる響きをフランスの作品で思う存分味わっていただきたいと思います。演奏はモーツァルト室内管弦楽団の首席奏者たちです。後半の3曲にはピアノが加わっています。よく知られた名曲とあまり聴く機会のない珍曲がほどよく混ざった面白いプログラムになっていると思います。

木管楽器とピアノのアンサンブルを天満教会のくつろいだ雰囲気のなかでお楽しみください。

 

 

第168回定期演奏会

〈創立50周年へ向けてシリーズ〉第1回

 2016年1月10日(日)午後3時 いずみホール

 

〈モーツァルト・オペラシリーズ〉第12回

モーツァルト 《魔笛》K.620

 

 2015年はモーツァルト室内管弦楽団の創立45周年ですが、この記念すべき時にどうしても取り上げたかったのが《魔笛》です。モーツァルト最晩年の最高傑作、モーツァルトのエッセンスがいっぱいのこの名曲オペラを最高の演奏でお届けしたいと思います。開催日は2016年の1月なので45周年の翌年になってしまいますが、〈モーツァルト・オペラシリーズ〉はお正月にやってきていますので、ゆったりした気分でお楽しみいただけると思っております。歌手の方々は関西の実力派ぞろいで、その人選はもう何回も協演を重ねて気心が通じ合っている関西オペラ界の重鎮、西垣俊朗さんにお願いいたしました。これ以上はないベストな陣容です。45年の歴史を積み重ねてきたモーツァルト室内管弦楽団によるモーツァルトの最高傑作《魔笛》の記念演奏、どうかお楽しみに。